【Part 2】こうち100人カイギ vol.5 立野 雄二郎(高知大学協働学部3年)/田村 花枝 (三味線演奏・指導家)
港区を中心に開催されていた、このイベントが「こうち100人カイギ」として、2019年1月よりKochi Startup BASE(以下KSB)にて月に1回開催しています。
今回は、2019年5月8日(水)に開催された、vol.5。
高知に住む、高知県内外で活躍する方々をお呼びして、働き方やその思いについて語っていただき、各お話についてまとめました。
<こうち100人カイギ vol.5 の登壇者>
野崎 浩平 さん (Part 1掲載)
立野 雄二郎 さん (Part 2掲載)
田村 花枝 さん (Part 2掲載)
森野 純夏さん(Part 3掲載)
桑名 斉 さん(Part 3掲載)
今回のゲストは、自分の「大切にしていること」を誰かに伝えたい、と自らが発信源となって活動している方々が多かった印象があります。自分の気持ちにきちんと向き合って進んでいく、ゲストそれぞれの話を聞き、参加者の多くは「自分の大切にしているものは一体なんだろう」と考えるきっかけを与えてくれた時間となったのではないでしょうか。参加したくても参加できなかった方、この方のお話が聞きたかった、など様々な方に読んでいただければ幸いです。
2人目の登壇者は、高知大学協働学部2年生の立野 雄二郎 さん
〈プロフィール〉
1998年生まれ。北海道室蘭市出身。幼い時から「笑顔」に囲まれて育ち、その影響で今の肩書「笑顔で人とコミュニケーションを取るエキスパート」と名乗るようになった。小学生から高校生までの12年間軟式野球に専念し、高校3年生の時には全国大会・国体に出場。初めての海外が高校1年生の時に言ったカンボジアで、そこから人生が変化。ユネスコ活動や学級活動、ボランティアなど多くのことに取り組み、大学進学を機に高知へ。現在は「おきゃく電車で社長呑み!」などのイベント開催を中心に活動中。 |
笑顔は伝染病
現在、高知大学協働学部3回生の立野さん。立野さんが自分の軸として大事にしているものは「笑顔」です。
そう思ったきっかけは、高校3年生の時。初めての海外でカンボジアに行った時に出会った子どもたちとの出来事だといいます。日本から比べると、決して裕福とは言えない暮らしの中、生き生きとして、一生懸命勉強している子ども達と関わることで、笑顔の大切さに気づいたそうです。カンボジアから帰国後、「笑顔を学校でも広めていけないだろうか。」と思うようになります。当時、2016年はネパールで大地震が起きた年。なんとかできないかと、有志を呼びかけると予想以上に人が集まり、募金活動やネパールの現状を伝える活動を実施することができました。この活動でも、笑顔が笑顔を生むことを実感し、その経験は「笑顔は伝染病。」という独自の思いにつながっています。
笑顔という大きな木を作りたい
大学に入り、様々な人と触れ合うことで、
「人によって笑顔は違う。人それぞれの笑顔が発見できて、その笑顔が作れる場を作りたい。」と考えるようになりました。
笑顔という大きな木を、大学に通うこの4年間で作れたら、と考え、第1歩として行なった活動が、地元の野球チーム『高知ファイティングドックス』との連携。
結婚式を挙げずに入籍したご夫婦の旦那さんと一緒に企画し、実際の交流戦の時にフラッシュモブのサプライズを奥さんに仕掛けました。
野球チームの方々、高知大学のダンス部など、たくさんの方と協力をし、成功させたこの企画が、立野さんの笑顔プロジェクト第1弾です。
高知の良さをもっと知ってもらいたい
それから、立野さんは『Aプロジェクト』というもの立ち上げ、いろいろな活動を行なっています。一例として、大学の近くにある施設を使って、おでん屋さんを開店したり、一軒家を見つけて友人とシェアハウスとして住み、留学生や地域の方などと交流会を行なったり。
そして今行なっているものとして紹介してくれたのは、「おきゃく電車で社長呑み!」というイベント。このイベントは、とさでん交通の路面電車内で酒宴を楽しめる高知名物の「おきゃく電車」を使って、県内の学生と経営者が交流するイベントです。企画した理由の一つが、高知にはいいところがたくさんあるはずなのに、大学を卒業した後県外に出てしまうことへのもったいなさをでした。高知で想いを持って働く経営者さんがたくさんいること、その人たちと話す機会があれば、と立案。今までに計2回、14名の経営者の方に参加してもらい、メディアからも注目され、各種新聞で取り上げられたそうです。
地域を笑顔でつなげる
もう一つ話してくれたのは、土佐山アカデミーでの活動。
今、立野さんは『土佐山アカデミー』という、地域の課題を資源に、学びの場を提供している団体の中で、様々な刺激を吸収しています。去年は一つの事業を任せてもらい、土佐山地域で手付かずの竹林を使って、巨大なブランコを作るプロジェクトにも携わりました。土佐山アカデミーで学び、行動する中で立野さんは考えます。
「風の人は外から来た人、土の人は地元の人。これが合わさって風土。
風土に“水の人”、風と土をつなぐ人が合わさることによって、もっと風土が豊かになる。」
こういった考え方で、今後の大学生活も活動していけたらと、意気込みを語ってくれました。
最後に、軽トラを最近手に入れたことを教えてくれた立野さん。次は、移動しながら何かコミュニティが作れないかと考えているとか。今まで経験したどの活動も、これから行なっていくことも全て「みんなを笑顔にしたい」という思いから来ている、と力強く話してくれました。
3人目の登壇者は、三味線演奏・指導家の田村 花枝 さん。
〈プロフィール〉
1986年生まれ。高知県いの町出身の三味線演奏家。 中学生から三味線を始め、20歳で師範となる。 高知県下のイベントやクルーズの見送り演奏も担当し、よさこい祭りでは「旭食品」チームで三味線を担当。 国際交流活動として、「第23回世界青年の船」に参加。2015年にはアメリカ・フロリダ州のウォルトディズニーワールドで寿司職人として働いた経歴も持つ。 海外にも三味線や高知の民謡の魅力を広げるため、アメリカやドイツで定期的に文化交流イベントに参加。 演奏活動だけでなく、三味線部や教室での指導も行っている。 |
海外での経験を通じて
田村さんは、高知県を中心に三味線の演奏者として活動しています。中学卒業後、三味線の師匠に弟子入りし、20歳で師範になりました。三味線の活動を行う中で、「一度海外に行ってみたい」と思った田村さんは、1年間単身でアメリカへ行くことになります。アメリカでは、ディズニーランドの日本食レストランで寿司職人として働き、お客さんに寿司を握る傍ら、有名なアーティストが利用するライブハウスや、イベントで三味線の演奏もしていたと話します。
高知の音楽をもっと多くへ
日本との交流を目的にした海外のイベントでは、古典や民謡だけでなく、海外の方に人気の高い日本のアニメやゲームの曲を弾くこともありましたが、中でも人気が高かったのは「高知の民謡」だったそう。この経験を通じて、しばてんなど、高知の伝統的なリズムや音楽は、国境を超えて人の興味を引くということを実感し、もっとたくさんの方に同じように感じてもらえるようなきっかけ作りをしていきたいと、活動するようになったそうです。
やりたいことを叶える
演奏家でありながら、指導家としても活動している田村さんが、指導を行う上で大切にしていることは、「三味線を教えて、その人のやりたいことを叶えること」だといいます。お金を払って、通ってくれる生徒たちが、自分の思うように弾けるようになる為には、お稽古だけの時間では難しいと考えます。上達するには、お稽古以外の時間での練習や、復習が大切。ではどうモチベーションを下げずに行なっていけるか、といった生徒への後押しも、先生としての仕事だと田村さんは考えています。
一緒に考え、後押しを
生徒一人一人に対して、自身のこれまでの経験を踏まえ、「私はこんなことをしていて、あなたもこんなことができるようになるかも」と伝えること、そして「どう計画を立てて、どう上達していきましょうか。」と生徒と一緒に目標を考えていき、生徒と2人で乗り越えていけるようにと指導方針を話してくれました。
新しいことに挑戦
また、田村さんは自分でイベントも企画しています。三味線や小唄について、もっと多くの人に知ってもらうために、定期的に開催している演奏会「小唄らぼ」というイベントです。このイベントは2回目の開催。1回目は満員御礼、大盛況の中終えたそうです。
田村さんが三味線を通して活動する中で大事にしていることは、
「自らお手本を示し、また、自分自身も常に新しいことに挑戦していく気持ち」と笑顔を見せてくれました。
【総括】
大ボリュームで話してくれた立野さん。話の途中途中、自身の活動やプライベーとの写真も流してくれましたが、どの写真も写っている方々は皆笑顔で、立野さんの活動がとても伝わってきました。
田村さんは、令和カラーの着物で登壇してくれました。三味線の先生というイメージを払拭するようなグローバルな話も多く、楽しく、好きなことに携わっているというハツラツとした表情が印象的でした。
とても楽しそうに自分の話す2人の姿に、参加者の方々からは笑いや驚きなどがたくさん起こり、会場が良い雰囲気に包まれました。
100人カイギとは
一般社団法人INTO THE FABRIC 高嶋 大介氏が「同じ会社に勤めていても、1度も話したことがない人がいる」と気づいたことをきっかけに、会社、組織、地域の”身近な人”同士のゆるいつながりを作るコミュニティ活動を始めました。 2016年六本木で「港区100人カイギ」スタートさせたのを皮切りに、渋谷区、新宿区、相模原市、つくば市、雲南市など全国各地へ広がっています。
100人カイギの一番の特徴ともいえるのが、「ゲストの合計が100人になったら会を解散する」ということ。100人の話を起点に、肩書や職種ではなく、「想い」でつながる、ゆるやかなコミュニティを作ります。
(レポート:畠中 詩織)
エイチタス株式会社 高知支社(担当:畠中)
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