"KSB"(Kochi Startup BASE)のジャーナル

-みんなの幸せを追求する、企業の価値創造-嶋崎裕也氏
こうちアントレプレナーナイト#1

「こうちアントレプレナーナイト」は、高知県内で活躍する先輩起業家を招き、起業までの道のりや苦労話、起業するにあたっての心得など、実体験をもとに紹介してもらう、対話形式のセミナーです。
また、参加者が考えているアイデアがある場合は発表し、ゲストと参加者が一緒に、そのアイデアを磨き上げる参加型のプログラムとしても機能させていきます。

第1回目の講師は、嶋崎裕也さん(株式会社アースエイド 代表取締役)。
『みんなの幸せを追求する、企業の価値創造』と題して、起業に至るまでのお話や経営者としての考え方、そして、会社の今後についてお話しいただきました。

 

嶋崎裕也さん(株式会社アースエイド 代表取締役)

<プロフィール>

2004年に自動車メーカーのマツダ入社。シャシー開発、低燃費エンジン開発、開発統括業務などに携わった後、2009年に退社。

6次産業立ち上げの為の農業技術や食品加工技術の開発、加工場建設や限界集落の情報インフラ整備等を4年掛けて実施し、2013年㈱アースエイドを創業。

「価値を創造してこそ、企業の経営」を信念とし、祖母が食べさせてくれた葉ニンニクのぬたに衝撃を感じ、県外では知られていないこの味を全国、海外へ売ろうと起業する。

現在はNPO法人日本綜合医学会の理事も務め、健康相談や食育講演活動を通じて「食の本質」を伝えることにも尽力し、ガン・糖尿病の生活習慣病や精神疾患の患者を削減させ、医療費問題に貢献することを人生の目標としている。

 

そもそも、経営とは何か

最初に「経営とはどういう意味でしょうか」と参加者へ語りかけた嶋崎さん。参加者の答えを聞き、経営という言葉の語源の話をしたあと、「事業目的を達成するために、意思決定を行い、実行に移し、事業を管理遂行するということ」だと語りかけました。

事業目的を決めることが大切な理由は、「なぜこの事業をするのか」、「誰の何のための事業なのか」これらを理解し、本質を知るため。それは、お客様にとって価値があるものを提供していくためのプレイヤーが、自分自身だからです。

では、起業をするためにはどんなことが必要なのか。嶋崎さんの答えは「思うこと」。人は自分が思ったこと以上のことはできません。だからこそ、頭の中でイメージし、思うことが何よりも大切だと伝えます。

 

仕事と価値創造

「価値は仕事をしないと生まれません。仕事とは何でしょうか。」と、再び参加者に投げかけます。嶋崎さんの考える仕事とは、元々の状態よりも価値が上がっている状態。どんなに努力をしても、元のものから変わっていないものは、価値を創出していません。まず形にして検証をする、試験的に小さくても良いから回してみるなど、アクションを起こすことが重要です。

では、価値は永久に変わらないものなのか。消費者側に立ったとき、人によって価値は変わります。また、年齢や性別、地域、文化など様々な要素によって左右されます。既に市場が出来上がっているところに商品やサービスを提供し、売りに行くのがビジネスの王道ですが、時代の流れには逆らえません。

技術革新による産業構造の変化や社会のうねりの中で、常に質の高いものを創出するためには「継続できるか」が大事だ、と力強く話してくれました。

 

継続することと幸福感

継続することは、一夕一朝ではできません。資金や人材の投入などリスクもある中で、何が何でも諦めずやり抜くためには、いかに自分をうまく手名付けられるかどうか、つまり自分に対しての環境を整えることが必要です。

やりがいや生きがい、使命感に加えて、おもしろさや幸福感もないと続かないこと、最後は楽しいから、自分がやりたいからやっている、と思えるかどうかを、起業して身をもって知った嶋崎さん。

どこを基準にして見るのか、その例えとして、高い山を少ししか高さが変わらない山からみればそんなに大きく感じませんが、下から見れば、高く感じることを図で表してくれました。起業をすると、大変なことや苦難が沢山あります。ですが、底を知れば知るほど、幸せを感じる頻度が増えるのだと言います。

 

幸せに慣れないために

このことを裏付けるように、あらゆる職業の中で幸福度が最も高いのは、起業家というデータを紹介してくれました。起業家は、自由度が高く、先が見えない、夢があるから、という理由だそうです。

波のある人生グラフを指して、幸せの位置はどこか、と参加者に尋ねます。嶋崎さんはこれまで、幸せは山になっている部分の頂点だと思っていましたが、今は上り勾配になっているところだと気付きました。何故ならばこの部分は、これから上がっていく、ワクワクしているときだからです。

幸せな状態は高止まりしませんし、ずっと幸せな人生とは言えません。幸せは慣れてしまうし、順応してしまうもの。慣れないためには、一旦下るしかないのです。その考えの背景には、苦労すればするほど、思いもよらぬ喜びや感動につながった自身の経験がありました。

 

起業前から現在に至るまで

一人っ子として育った嶋崎さんは、周囲にアドバイスを求められる環境ではなかったため、とにかく「自分ができる」と信じるしかありませんでした。考えるよりもやってみる、ダメだったら次にシフトして策を練る。お金も人脈も無い中、一番信用できるのは自分自身であり、自分を信じ切って挑んでいました。

起業するとき、周囲からは反対ばかりでしたが、それを押し切って起業しました。容易ではありませんでしたが、その中で実感したのは堕落さえしなければ、「死ぬこと以外はかすり傷」ということ。このマインドで、創業期に致命傷にならない程度にトライ&エラーを行うと、新陳代謝を促し、失敗しても良い風土が出来ます。これは、社員の士気が上がることに加え、会社の固定費での面でも試作数を多くこなし、成功に当たる確率が高くなることにつながります。沢山失敗するのは健全な企業経営だ、と話します。

 

働き方と生き方の変化

ひとつの例として、多様性(変化)のある働き方の話をしてくれました。仕事の中で、一つの作業しかしない人と、受付や配膳、トイレ掃除などの作業を受け持つ人のストレスホルモンを測ったとき、複数の作業をしている人の方が、幸福度が高いというデータが存在します。起業して6年ほど経過した中で、嶋崎さんも同じようなことを感じていました。

経営者は一人で何役もこなさなければならず多忙ですが、その分、充実感や満足感は高く、活動停止期間が短くなり、生産性の向上を実感しています。大きな成功でなくても、小さな成功の達成回数の積み重ねが自信や活力となり、時間を意識したライフスタイルへと変化していきました。

 

自分自身が選び、判断している

話が終わりの時間に近づいた頃、「出来ないと決めているのは、誰かというと『自分自身』なんです。人は決めませんから。」と、ある経営者のこんな言葉を紹介してくれました。

嶋崎さんは、昔からやりたいことを言うと「お前には無理だ、できない」と言われてきました。人が出来ないと決めても自分にはできる、と信じ続けていくと出来る、やめた、やらないと決めるのは自分。と、自らを振り返りながら話します。

異業種から転身したからこそ分かったこともありました。「長い目で見れば人生には無駄がない」一見、農業には関係ないと思っていたことも、ものづくりや戦略、シナリオ作り、過去にしてきたことが役立っています。経験値が高ければ高いほど、その後の人生で有用に使える、と参加者に語りかけました。

 

自分自身を愛すること

最後に、テーマである「企業の価値創造」について話してくれました。質の良い、価値の高い商品を生み出していくためには、もちろん綺麗なハコモノなどに頼る部分もありますが、企画開発やオペレーションをするのは人間です。

「与えられる最も価値あるものは自分自身」、自分自身に価値がないと、価値があるものは作れない、と嶋崎さんは考えています。

そうするためには、自分を愛し、大切にして、心身ともに健全に保つこと。

これが質の高い仕事、価値があるものをクリエイトするために大切なことだ、と笑顔で締めくくってくれました。

 

対話の時間

今回は嶋崎さんを囲んで、講義を聞いてもっと知りたいことや質問などを気軽に話せる場を設定しました。

 

参加者からは「事業目的を明確にして行動を起こすとき、なかなか動けないことがある。見切りをつける判断をどのようしているのか」、「事業進めるうえで戦略を立てることが必要ですが、忙しい中でインプットとアウトプットをどう行っているのか」といった質問が出ました。

参加者同士も質問に対して意見を述べたり、ご自身の経験を話したり、と和やかな雰囲気の中、交流が深まっていました。

 

チェックアウト

最後は、チェックアウトとして、一人ひとり今日の感想を共有しました。

嶋崎さんのお話を聞いて印象に残った言葉や自身のこれからについて発表された方、嶋崎さんの行動を自身に当てはめて感想を話してくれた方など、どの感想を聞いても気づきが多かったことが分かりました。また、「継続して活動できる環境を作ること」「自分を信じること」など印象に残った言葉も多く聞かれました。

 

総括

周りに反対をされる中で自分自身を信じて、起業を決意した嶋崎さん。

実際に起業をしたからこそ、語られる言葉の数々は重みがあり、説得力がありました。「まずは自分ができると信じること」、「顧客に与えられる最も価値のあるものは自分自身」という力強いエールを送ってくれたことで、参加者の皆さんも新たな一歩を踏み出す勇気をもらったのではないでしょうか。

参加者同士の交流の場面も多く見られ、同じ価値観を持った人たちが出会うきっかけの場としても機能させていきたいと思いました。
(レポート:上野 伊代)

 

問い合わせ

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