"KSB"(Kochi Startup BASE)のジャーナル

【Part 3】こうち100人カイギ vol.4 高橋 沙希(株式会社Founding Base)/吉田 剛治(舞台制作者)

2019年1月よりKochi Startup BASEにて始まった「こうち100人カイギ」。今回は、2019年4月24日(水)に開催された、vol.4の様子をお送りします。

 

今回の登壇者も、それぞれ全く別分野の領域で活躍する方々でしたが、仕事でありながらも楽しむことを忘れない姿勢を5名のトークから感じました。自身の思い描く理想の場や未来のために、楽しみながら邁進していく。そんなゲストの姿に、参加者の皆さんも自分の理想、未来などを考えるきっかけになったのではないでしょうか?
参加したくても参加できなかった方、この方のお話が聞きたかった、など様々な方に読んでいただければ幸いです。

<こうち100人カイギ vol.4の登壇者>
西岡      良介さん(Part 1掲載)

https://startup-base.jp/journals/【part-4】こうち100人カイギ-vol-4-2/

冨田         薫さん (Part 2掲載)
松本 志保子さん (Part 2掲載)

https://startup-base.jp/journals/【part-3】こうち100人カイギ-vol-4/

高橋    沙希さん (Part 3掲載)
吉田    剛治さん (Part 3掲載)

 

 

4人目の登壇者は、
株式会社Founding Baseの高橋 沙希さん

<プロフィール>

1987年千葉県生まれ。中学生の時に生徒会長になったことをきっかけに積極性が開花。その後、1年間の語学留学やカンボジア学校建設、17カ国を旅するバックパッカーなどの経験を経て社会人に。卒業後は東京のコンサル企業に就職。100以上のクライアントを担当する。お客様や同僚、後輩と対峙していく中で、「どうして人はこんなにもあるべき姿に苦しめられているんだろう」と考えるようになる。2年前にFoundingBaseと出会い、その人がその人らしく、「あるべき姿」ではなく「ありたい姿」をつかみ取れる社会を作りたい、とFoundingBaseに参画。現在は、自分や他者ととことん向き合う合宿型プログラム事業を作っている。

 

自分の思いで始めた事業
東京都出身、千葉県育ちの高橋さんは2年半前に四万十町へ移住しました。
現在は高校生向けの町営塾の運営に関わっており、勉強だけでなく、将来の相談やキャリアのアドバイスも行っています。
こうした仕事の傍ら、自分のやりたいという思いから始めた事業に取り組んでいます。それが、四万十町に来て、自分の生き方を模索する合宿プログラム『ファクトリー・ダイアログ』です。

 

いい子でいることに徹した子ども時代
高橋さんが『ファクトリー・ダイアログ』をはじめようと思ったのは、世の中でくすぶった想いをもって生きている人や違和感を抱きながら生きている人が周りにいたからです。このことに加え、高橋さん自身のこれまでの人生も大きく影響していました。
昔は全然笑えない、消極的で自分の意見が言えない、引っ込み思案で仲間が出来ない、そんな子どもだったそうです。

 

少しずつ積極性が開花
そんな高橋さんに転機が訪れます。小学校5年生のときに運命を変える先生と出会いました。その先生はいつも自信がない高橋さんに「大丈夫、沙希ならやれる。やってみろ」と言ってくれました。
その言葉に後押しされ、少しずつ状況が変わっていきます。前に出る楽しさやおもしろさを知り、どんどん積極性が開花しました。
その後、中学校では生徒会長を務め、高校では留学も経験。
やってみるって、おもしろい、ということ、また経験は間違いなく自分を作るということを肌で感じたのです。

 

今の大学生に思うこと
大学を卒業して社会に出たとき、あることに気付きます。「しなきゃいけない」「あらねばらならない」がとても強く、生きづらそうにしている人が沢山居たことでした。こういう人たちを何とかしたい、その思いから作られたのが一歩、外に出られる人のための『ファクトリー・ダイアログ』でした。この取り組みは想定を壊して、想定外の未来を創るひとのための場所です。
プログラム内容は
1,自分と、相手と、とことん対話すること
2,田舎体験を通じて素敵な大人に出会うこと
3,温かいお母さんの手料理を食べて、いいものを身体に取り込むこと
の3つです。

 

 

ファクトリー・ダイアログのこれから
『ファクトリー・ダイアログ』は何を軸に次の仕事を決めたらいいか分からない人や自分と自分の未来に漠然とした不安を持っている人などを対象にしています。この取り組みは今4期を迎えるところ。このプログラムを通じて、「想定外」の未来を掴む人が増えるよう、これからもプログラムをアップデートし続けていきたい、と話します。高橋さんは参加者だけがハッピーになるのではなく、周りで関わってくれている人たちのハッピーになる相互関係を作りたい、と話します。今後は安定的なプログラムの提供を目指しているそうです。

 

 

 

5人目の登壇者は、
舞台制作者の吉田 剛治さん。

<プロフィール>

1973年高知市生まれ。コンサートプロモーター、舞台技術者、須崎市立市民文化会館の事業担当としてキャリアを重ね、2001年より高知市文化振興事業団に所属。高知市文化プラザかるぽーとの開館より、自主事業を中心に担当する。現在は、劇場「蛸蔵」の運営や、市民による音楽企画団体の事務局などを勤める一方、演劇公演や映画上映会などのプロデュースも手がける。

 

現在の仕事に就くまで
バンドブーム全盛期、コンサートのアルバイトに行った際、見たことのない機材を積み上げるのを見て「かっこいい!」と思ったことがきっかけで舞台に興味を持ったという吉田さん。
有名アーティストのコンサート等を担当していましたが、公演数が減少したことから音響照明の会社へ。その後、舞台管理の縁で公共施設の職員から転職して、現在の仕事に至ります。

 

公共文化施設について
公立文化施設について 当時の公立文化施設の大半は、年間の事業予算の中でどの文化事業を実施するか、いわばカタログショッピングのような事業の行い方だったと吉田さんは言います。文化施設の建設ラッシュなどで、様々な地域に文化施設ができたのは良いことですが、運営においてきちんとしたビジョンを持っているところは多くはなかったそうです。
そんな状況の中、平田オリザさんの言葉に感銘を受け、文化芸術の社会的役割とは何か?を考えるようになりました。

 

文化行政の社会的役割とは
一つ目は、生きる力につながること。
音楽を聴いたり、映画を見たり、小説を読んだり、もしかしたらある芸術を見たことがきっかけになるかもしれない。
二つ目は、教育や経済、観光、福祉の役割を持つこと。
三つ目は、コミュニティ形成や維持のための役割、そして小さなネットワークをつなげていくことや知らない人をつなげていくことだと吉田さんは考えました。

 

プライベートの活動
普段は文化施設の職員をしている吉田さんですが、プライベートでも個人的な趣味や仕事関係ではない様々な活動に関わっています。その内のいくつかをご紹介していただきました。
国際的な音楽交流を中心に高知を楽しくするプロジェクトでは、定期的に10年以上『World Music Night』開催しています。このイベントの目的は音楽を通じた文化の交流をすることです。
現在はメンバーが忙しく活動を休止していますが、アートNPOの走りとも言える『ART NPO TACO』ではあまり活用されていない建物を使ってイベントを開催したり、ダンスのワークショップをしたり、楽器作りを行ったそうです。

 

 

モチベーションは楽しさ
その他、NPO蛸蔵での活動や『高知演劇祭』、須崎市のアーティスト・イン・レンジデンス事業の一環である『須崎のまちの物語』、爆音で映画を観る『サウンドシネマ』など様々な活動に邁進しています。
仕事もしながら、こうしたことを続けられるモチベーションは楽しさ、だとお話ししていました。
個人の趣味ですが自分がやっておもしろいことや楽しいと感じることが大切で、そこを軸につながれば、その人たちとさらにおもしろいことができるのでは、と締めくくってくれました。

 

【総括】
自分の周りにある資源を活かしながら、身近な問題を解決していく活動を行っている高橋さん。

自分が主体となり楽しさを軸に色々な人たちとおもしろいことを仕掛けていく吉田さん。
それぞれの活動は真逆のように見えますが、根底にあるのは自分たちがいる場所をより良くしていきたい思いがあるように思いました。これからお2人がどんな活動を展開していくのか、とても楽しみです。

 

100人カイギとは

一般社団法人INTO THE FABRIC 高嶋 大介氏が「同じ会社に勤めていても、1度も話したことがない人がいる」と気づいたことをきっかけに、会社、組織、地域の”身近な人”同士のゆるいつながりを作るコミュニティ活動を始めました。 2016年六本木で「港区100人カイギ」スタートさせたのを皮切りに、渋谷区、新宿区、相模原市、つくば市、雲南市など全国各地へ広がっています。
100人カイギの一番の特徴ともいえるのが、「ゲストの合計が100人になったら会を解散する」ということ。100人の話を起点に、肩書や職種ではなく、「想い」でつながる、ゆるやかなコミュニティを作ります。

 

(レポート:畠中 詩織)

 

 

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