"KSB"(Kochi Startup BASE)のレポート

起業という選択―高知の食に魅せられた私の生き方―
~こうち女性起業家応援プロジェクト連続セミナー #2

「こうち女性起業家応援プロジェクト」は、起業や育児休業後の職場復帰や再就職、移住後のキャリアチェンジ、そして、キャリアアップを目指す女性を幅広く支援するという想いから、各分野で活躍する起業家をゲストに迎えたセミナーや、生活目線から考える事業アイデアの創造に向けた学びの機会を提供し、高知の女性が自分事として取り組むことのできる新たなチャレンジを後押しすることを目指し、開催しております。

第二回目は浅野聡子さん(株式会社 Story Crew/代表取締役)。

『起業という選択―高知の食に魅せられた私の生き方―』と題して、高知に移住する経緯や、移住後の暮らし、チャレンジ、そして、今、についてお話いただきました。


浅野 聡子 (株式会社Story Crew/代表取締役)

北海道釧路市出身、日本縦断人生を暴走中のローカルキャリア女子。2008年株式会社リクルート入社。中古車約3500台、国内外の結婚式場101会場の販売マーケティング、広告、事業計画、営業に携わる。2014年12月夫の故郷高知県に移住。高知県地産外商公社に入社し、高知県食材の県外商流構築に携わる中でローカルの食のすばらしさに感銘を受ける。2016年3月株式会社Story Crew(ストーリークルー)設立。自分流の外商をすべく、独立。高知を本社に、東京、神戸のパートナーと組みながら、自分らしいローカルライフの実現も目指す。農産品、加工食品のリブランディング、営業販路戦略設計、カフェ運営プロデュースなどを行う。2018年5月、バリキャリ向けのフードブランド、「イナカデリコ   」をたちあげ、都内オフィス向けに高知県食材を活用したサラダ、サンドイッチ、デリカッセンなどを展開。ローカルの食材を多様なスタイルに変換し、人を元気にすることが使命。


 

手間なくよい食と暮らす

「話始めると熱が入りすぎてしまう」と笑いながら、まずは自身が現在行っている活動についてお話をしてくださいました。
北海道出身の浅野さんは、上京して7年間会社員として過ごし、旦那さんの出身地である高知県に移住し、高知県の地産外商公社に勤めた後、起業しました。現在はオフィスデリバリーのイナカデリコを中心に、カフェやショップのプロデュース、リブランディングなどを行っています。イナカデリコでは、東京の企業に向けて、高知の新鮮な食材を忙しい人のライフスタイルに合わせて加工し、オフィスの冷蔵庫に配達。集金箱を設置することで、無人で販売しています。

「特にビジネスウーマンのライフスタイルは変わる。だから、それに合わせて編集して売る」そうおっしゃった浅野さんは、都会の忙しさから、疎かになりがちな働く女性の食を守るため「手間なくよい食と暮らす」というコンセプトを掲げています。

高知県って面白い!

そんな浅野さんはどうして高知で起業したのでしょうか。
旦那さんの実家のある高知に移住して、初めて行ったスーパーマーケット。そこに並ぶ新鮮でおいしそうな食材の、種類の豊富さ、それもほとんどが高知県産であったことに浅野さんは衝撃を受けたといいます。しかし、同時にその販売方法に課題も感じます。
そして東京で得た、「相手の課題を解決するとおのずと売れていく」セールスマンとしての経験が生かせそうな地産外商公社に就職しました。そんな中、「地方に住みつつも活躍の場をもっと外へ拡げたい」という想いが生まれた浅野さんは、高知で就職して1年後、起業しました。

浅野さんのモットーは「どんなに小さなことでも、思いついたら、やる」というもの。
そのモットーに従い、2016年の3月に起業してから9か月間は、野菜を抱えて東京のマルシェで売ったり、農家の名刺をもらって営業代行をしたり、知り合いの通販サイトで売ってみたり、卸をしたり……と、しっくりくるものが見つかるまで、とにかく色々なことをやりました。

そうして、現在のイナカデリコのスタイルにたどり着きました。東京の信頼できるパートナーと共同経営をし、都会のニーズをすぐに把握して、お惣菜などの商品を開発、ニーズに合わせて高知の食材を送り出していく。自社で加工場を持ち、しっかりと事業展開をしてきたところ、日本橋高島屋の一等地に自社ショップをオープンするにまで至ったといいます。

「使命」の見つけ方

しかし、そこに至るまでには悩みも多かったといいます。
なぜそれを私がやるのか、それを続けて自分の人生は満足なのか、それをやっていて私は心から嬉しいのか、という疑問に、満足する答えは出せず、もがいていました。
そんな中、出会ったのがゴールデン・サークルという理論。
それに従い、「何をどうやるか」ではなく「なぜそれをするのか」と、自分に問い続けていった結果、「ローカルが働く女性を幸せにする」という、浅野さん自身の「使命」を見つけたといいます。

「私だから」をどう見つけたか

この「使命」や「私だから」を見つけることは誰でも必ずできる。そう浅野さんは強く語ります。
その秘訣は自分の「原体験」に注目すること。浅野さんは、東京で働いていた頃を振り返り、毎日、ビルの37階から降りる時間がもったいなく、1日分のご飯をコンビニで買いこんでいたこと。仕事も、おしゃれも楽しんでいたはずなのに、生活の中で、あまりにも食の優先順位が落ちていたこと。そして高知の食材に出会った時の感動。そんな原体験を語ってくださいました。

そしてこれらの実体験から、ビジネスマンを食で支えること、働く女性を応援すること、高知の食のスーパー営業マンとして活動できるのは、東京での経験と高知の食の感動を知っている、「私だから」できることだと感じたといいます。

“あなたの命どう使いますか”

最後に浅野さんは、この言葉で締めくくりました。
今回のお話の中で、何度も登場した「使命」という言葉。一度しかない人生の命を何のために使うのか。それは自身の過去から意味づけをすること発見できる。と浅野さんは語ります。また、使命があることで、つらいこと、嫌になることがあったときにも、乗り越えることができ、ワクワクした気持ちになるといいます。

他にも、気持ちが熱いうちにどんなに小さなことでもいいので何かやってみる。環境に制限されている時こそ動き始めるチャンス。世の中に常にアンテナを張り、何事にも自分の考えを持つ習慣をつける、など、参加者の方へ、「使命」を見つけるためのヒントをたくさん残してくださいました。

ライフヒストリーや気づきのシェア

浅野さんのお話を踏まえ、次に参加者同士で3人1組のグループを作り、浅野さんのお話の感想や気づき、自分自身のライフストーリーについて共有をするワークを行いました。

参加者自身が自分の人生の出来事や感情の起伏、その時感じたこと、学んだことなどをグラフに表し、それについて他の二人と質問や感想を共有しました。

浅野さんのお話にあったように、自分自身の原体験を思い起こしながらのワークとなり、参加者同士が相手の原体験から刺激を受け、自らの気づきにつながる機会となりました。

チェックアウト

終わりには、一人ひとり挙手をして今日の感想や気づきなどを話しました。

参加者からは、浅野さんに対する具体的な経営についての質問や、振り返りを行うことで気づいたこと、共感したところなど、実に様々な感想が飛びかいました。

総括

浅野さんが現在取り組んでいる仕事へのこだわりだけでなく、高知との出会い、起業するまでの流れ、「使命」の重要性や、「私だから」を見つける方法など、浅野さんのライフストーリーを振り返りながらお話しいただきました。東京で勤めていた時代に感じたこと、経験したことや、移住してからの驚きなどの様々な原体験が現在の浅野さんを作りだしていることに共感し、自分と向き合う時間をつくりたい、小さなことでも明日から取り組みたい、とおっしゃっている方も多く、浅野さんの元気なパワーが参加者の皆さんにも届いていた様子でした。
会場全体が、自分自身の未来にむけて、熱い気持ちに包まれたイベントでした。

(レポート:檜山諒 )

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