"KSB"(Kochi Startup BASE)のレポート

こうち100人カイギvol.4
~自分も楽しく、繋がる場つくりを~

2019年1月からKochi Startup BASEでスタートした「こうち100人会議」。地域で働く100人をきっかけに、まちの在り方や価値を再発見し、ゆるく人を繋げる「100人カイギ」のルールは1つ。「ゲストが100名に達したら解散する」。毎回、高知で活躍する5名のゲストを招いて一人一人の生き方や仕事への思いについて語り合います。

今回は、2019年4月24日(水)に開催された“こうち100人カイギvol.4”の様子をレポートします。

 

オープニング

 

はじめに、100人カイギとKSBの概要についてモデレーターから紹介した後、アイスブレイクとして数人でグループを作り、自己紹介や今の気持ちのシェアを行いました。
今回も、新たに参加してくれた方も多く、全体的に緊張している雰囲気もありましたが、アイスブレイクを通じて、初対面同士でも対話が生まれ、緊張もほぐれた様子でした。

 

 

ゲストトーク ー各者各様の想いー

 

登壇者1 西岡 良之さん (株式会社 中四国TSUTAYA 取締役)

〈プロフィール〉

1984年京都生まれ。カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社に新卒で入社後、TSUTAYAのフランチャイズ事業を主に担当し、レンタルバイヤー、スーパーバイザー、支店長などを経て、2017年にオープンした広島駅前のエディオン蔦屋家電のプロジェクトに参画。さらに2018年にオープンした高知 蔦屋書店のプロジェクトリーダーを担当。ライフスタイル提案を軸とした店舗プロデュースを担当。

 

1人目の登壇者は中四国TSUTAYAで取締役を務める、西岡さん。2007年から現在の会社に勤務し、高知 蔦屋書店の立ち上げにも関わっています。世界一の企画会社を目指していると力強く語るその姿は、今のお仕事に誇りを感じているように見えました。

 

本を売らない本屋

蔦屋書店は本屋でありながら、本という物を売るのではなく、本を入り口に様々な空間へとつなげていく場所だと話す西岡さん。
高知 蔦屋書店も、海と山に囲まれた場所」、「女性が活躍してきた独自の文化」、といった高知ならではの要素から、「職人のこだわりから日常が楽しくなる市場をつくる」というコンセプトで、賑わいのある市場を作るように企画してきたといいます。
顧客の声や期待に応え、企画を作りあげていく。高知 蔦屋書店を例にとっても、そのこだわりや徹底ぶりがうかがえました。

 

登壇者2 冨田薫さん (高知大学ドイツ語非常勤講師)

〈プロフィール〉

北海道出身。2000年に夫の留学に伴いドイツのミュンヘンに移住し、初めてドイツ語を学ぶ。その中で、世界の人々の多様性を知ること、理解し合おうとすることの大切さを実感する。現地にて大学入学のためのドイツ語資格を取得し、2006年に帰国。愛知県の外国語学校などでドイツ語講師を務める。2013年に高知に移住してからは、異文化の受容について研究するため高知大学の大学院に進学して修士号を取得し、現在高知大学でドイツ語を教えている。

 

2人目の登壇者は、高知でドイツ語講師を務める富田薫さん。
夫の転勤でドイツに移住したところ、日本との違いに苦しみ、正解探しをしていたそうですが、ある時、「違う」という条件は皆一緒だということに気が付きます。そこから人と接することも楽しくなり、帰国後はたくさんの人にドイツ語を教える先生になりました。
自身は自由な性格だという富田さん、気さくに会場に問いかけながら話してくださる姿がとても印象的でした。

 

高知の大学生は真面目だけど…

始めはサラリーマン向けにドイツ語講師をしていた冨田さん。しかし、生徒が少なく、次に目をつけたのが大学でした。大学院に通い修士を取り、大学でも教えることとなりますが、教える中で、ある疑問を覚え始めます。それは、大学生が真面目なのに消極的であるということ。自身の考えは持っているものの、それを上手く表現することができない。
そんな大学生に対して、冨田さんは世界に向かって語ろう、と話します。バックグラウンドが違う人に対して自分の考えを伝えること、自分との違いを受け入れて楽しむこと、など、授業の中でも、その思いを伝え続けているといいます。

 

登壇者3 高橋沙希さん (株式会社Founding Base Peace Producer)

〈プロフィール〉

1987年千葉県生まれ。中学生の時に生徒会長になったことをきっかけに積極性が開花。その後、1年間の語学留学やカンボジア学校建設、17カ国を旅するバックパッカーなどの経験を経て社会人に。卒業後は東京のコンサル企業に就職。100以上のクライアントを担当する。お客様や同僚、後輩と対峙していく中で、「どうして人はこんなにもあるべき姿に苦しめられているんだろう」と考えるようになる。2年前にFoundingBaseと出会い、その人がその人らしく、「あるべき姿」ではなく「ありたい姿」をつかみ取れる社会を作りたい、とFoundingBaseに参画。現在は、自分や他者ととことん向き合う合宿型プログラム事業を作っている。

 

3人目の登壇者は、2年半前に四万十町に移住してきたという高橋沙希さん。普段は町営塾で高校生に勉強を教え、キャリア相談なども行っています。そんな高橋さん が自分の思いから始めた事業、 「Founding Factory」。「ありたい姿」を見つけ出すための合宿型プログラム等を行っています。

自分自身の実現したい未来について、目を輝かせながら語る高橋さんの姿がとても印象的でした。

 

「ありたい姿」を実現するFactory

昔は消極的で、仲間外れにされることも多かった高橋さん。しかし、小学生の時に出会った先生に背中を押してもらったことで、積極的で、何でもやってみる、前向きな性格に変化したといいます。大学に入り、「しなきゃいけない」、「こうあらねばならない」といった他者から求められる姿に縛られている周りの人の様子を、なんとかしたいと思うようになります。
そんな思いから始めた「Founding Factory」。生き方に悩む働く若者や大人を対象にした、2泊3日の合宿では、自分自身の生き方や価値観を、対話や田舎での暮らしの中で、みつめなおしていきます。
そして、この「Founding Factory」という事業の名前には、色々な工程を経て最後には素敵なものになるように、という沙希さんの願いが込められています。

 

登壇者4 松本志帆子さん (藁工ミュージアム 学芸スタッフ)

〈プロフィール〉

友人に誘われた高校演劇鑑賞がきっかけで野田秀樹著『人類への胃散(野田版・新世界史(1)』(角川書店)に出会い、歴史を学びたいと関東の大学へ進学。一つくらいは資格をと考え、学芸員資格取得中にボランティアに興味を抱く。その後「横浜トリエンナーレ 2001」エデュケーションプログラムボランティアにエントリー。対話型作品鑑賞ツアーなどを行い、現代アートに魅了され、アートやエデュケーションプログラムを学びはじめる。多種のアルバイトと婦人服販売、「土佐・龍馬であい博」スタッフを経て 2010年より現職。展覧会やイベントの企画を行うほか、藁工ミュージアムで働く障がいのある人たちのサポートも行っている。

 

4人目の登壇者は、藁工ミュージアムに勤める、松本志帆子さん。南国市出身で、演劇に出会い、大学でも「美術館で働く」という一心で、現代アートを学びました。そして藁工ミュージアムという場所で勤める中での大変さや、やりがいなど、元気に話すその姿に、自然とこちらも笑顔がこぼれてしまいました。

 

藁工の3つの柱

松本さんは藁工の3つの柱について話してくださいました。まず1つ目は「芸術を紹介すること」、作品の時代背景や、その意味など来場者に対して丁寧に伝えることを心掛けています。2つ目は「障がい者のアート支援をすること」、これは開館当初からしているそうで、アートを通じて互いの違いや、個性を認め合う環境を作っています。そして3つ目が「地域のための美術館であること」、アートに関することだけではなく、防災活動なども行い、地域とのつながりも大切にしています。
藁工の3つの柱を話しながら、藁工ミュージアムは、つなぎ、つながる場所、そして自分たちの周りにある面白いに気づく場所だと、松本さんは話してくださいました。

 

登壇者5 吉田剛治さん (舞台制作者)

〈プロフィール〉

1973年高知市生まれ。コンサートプロモーター、舞台技術者、須崎市立市民文化会館の事業担当としてキャリアを重ね、2001年より高知市文化振興事業団に所属。高知市文化プラザかるぽーとの開館より、自主事業を中心に担当する。現在は、劇場「蛸蔵」の運営や、市民による音楽企画団体の事務局などを勤める一方、演劇公演や映画上映会などのプロデュースも手がける。

 

最後にお話しいただいたのは、自らをカタログショッピングのような働き方をしているという吉田剛治さん。民間の音響照明会社から須崎市の市民文化会館、高知市文化振興事業団とキャリアを積んでいきました。また仕事とは別に、国際音楽交流のプロジェクトや蛸蔵の運営にも関わっており、お話を聞いていく中で、良い意味で「公私混同」な吉田さんの生き方、働き方がとてもよく伝わってきました。

 

楽しいことをする

民間から公共施設まで、様々なところで働いてこられた吉田さんですが、20数年働く中で文化、アートを通して仕事をすることについて考えるようになってきたといいます。それは、生きる力であったり、教育、経済として、そして、コミュニティ形成や維持のための役割など、様々な側面があることに気づいてきたといいます。。
楽しいことでつながれば面白いことができるんじゃないか。そう話す吉田さんは、仕事においても楽しいことをやろうと常に考えているといいます。仕事、趣味関係なく実践していく、吉田さんの前向きな人柄が表れていました。

 

 

ネットワーキング ー登壇者と参加者の交流の時間ー

登壇者と参加者の垣根を超え、思いでつながるネットワーキングの時間。この時間は、ゆるいつながりを生むという100人カイギの中でも、大切にしている時間のひとつです。
登壇者を中心に数人でグループになり、登壇者への質問や自分自身の思いなどを自由に語りあいました。新しいつながりが生まれるとても素敵な場になりました。

 

 

 

 

 

総括

仕事でありながらも楽しむことを忘れない姿勢をゲストトークを聞く中で感じました。それぞれ経歴も職種も違いますが、自身の思い描く理想の場や未来のために、楽しみながら邁進していく。そんなゲストの姿に、参加者の皆さんも自分の理想、未来などを考えるきっかけになったのではないでしょうか?

ネットワーキングも含め、登壇者や参加者、そしてスタッフも、楽しみながら自身の生き方を考える、そんな時間になりました。

 

 

 

※100人カイギとは
100人カイギは、一般社団法人INTO THE FABRIC 高嶋 大介氏が「同じ会社に勤めていても、1度も話したことがない人がいる」と気づいたことをきっかけに、会社、組織、地域の“身近な人”同士のゆるいつながりを作るコミュニティ活動です。2016年六本木で「港区100人カイギ」スタートさせたのを皮切りに、渋谷区、新宿区、相模原市、つくば市、雲南市など全国各地へ広がっています。

(レポート:檜山諒 )

 

問い合わせ
Kochi Startup BASE®
住所:〒780-0084 高知県高知市南御座90-1 高知 蔦屋書店3F
運営:エイチタス株式会社
Mail: ksb@htus.jp
Webサイト:http://startup-base.jp/

 

 

 

 

イベント詳細

まちで働く100人をきっかけに、まちの在り方や価値の再発見を目的に、ゆるく人を繋げる「100人カイギ」
渋谷区を中心に開催されていた、このイベントが「こうち100人カイギ」として、2019年1月より、Kochi Startup BASEにて開催しています。
こうちで活躍するゲストを毎回5人お呼びして、働き方やその思いについて語っていただきます。