"KSB"(Kochi Startup BASE)のレポート

こうち100人カイギvol.3
~『現状に変化を』それぞれの強い想い~

 

地域で働く100人をきっかけに、まちの在り方や価値を再発見し、ゆるく人を繋げる「100人カイギ」がKochi Startup BASEを拠点として2019年1月よりスタートしています。ルールは1つ。「ゲストが100名に達したら解散する」。高知で活躍するゲストを毎回5人お呼びして、生き方やその思いについて語っていただきます。

 

今回は、2019年3月30日に開催されたこうち100人カイギvol.3の様子をレポート。

 

高知県内外、多様な分野で活動する5名の方々をお呼びし、それぞれが自分自身の生き方や働き方について話題提供を行い、参加者とともにネットワーキングを行いました。

 

 

 

各者各様の想い

 

 

心屋認定カウンセラー/川村祐奈(かわむらゆうな)さん

 

<プロフィール>

奄美大島出身。高知県立大学を卒業後、精神科病院や一般科の病院でソーシャルワーカーとして約5年勤め、結婚を機に本山町へ。保育所での勤務を始めたことから独学で保育士を取得。第一子妊娠後に退職、2年後に第二子の出産。5年間、専業主婦で在宅育児をしていた。2年前に友人の自殺をきっかけに心理カウンセラーになることを決意しカウンセリングスクールに通い、2017年11月に個人事業主として開業し、現在カウンセリング活動を行っている。

 

 

 

1人目のゲスト・川村さんは、5年前ママ友の自殺がきっかけになり、「心のことを勉強したい」と決意し、心屋仁之助さんのカウンセラー養成講座に通い、カウンセラーとして起業。

自身のことを「ハチャメチャカウンセラーゆうな」と名乗り、活動を行なっています。冒頭では、「カウンセリングを受けたことがある人、手を挙げにくいと思うのでこっそりわかる様にウインクで私に合図してください」と可愛らしく話す姿がとても印象的でした。

 

主婦の光になりたい

川村さんは自己発信としてブログ(https://ameblo.jp/yu-na-oku/)も書いており、実際カウンセリングに来てくれる方もブログを見て来てくれる方も多いとのこと。

「好きなことを仕事に、女性としてキラキラしていたい。」という気持ちに加え、主婦としても日々過ごしていることに対し、「主婦をやっているだけで素晴らしい。主婦として堂々と生きたい。」という強い思いがあると話します。

カウンセラーという仕事で人と関わると、どうしても自分は後回しにして、家族のためと自己犠牲に陥ってしまう主婦たちに出会うことが多く、川村さんは、自分の存在が主婦やその家族の希望になれたら、と笑顔で話してくれました。

 

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学生エンジニア/森田久真(もりたきゅうま)さん

 

 

<プロフィール>

北海道出身。「空き家・空き山を最高にワクワクする場所へ」をコンセプトに、空き家・空き山のマッチングサービス「Vacant」を企画・開発。現在はリリース前のテスト運用を実施している。2015年、高知大学人文学部国際社会コミュニケーション学科に入学。2年次修了後に休学し、カナダトロントの企業にてWeb担当として働く。帰国後は株式会社SHIFTPLUSのエンジニアを経験したのち、学生を中心にウェブサービスの開発を企画している。

 

 

2人目のゲストは、現役の高知大生、森田久真さん。学生でありながらブログで月15万円稼げるようになったり、カナダにワーキングホリデーで滞在したりと、様々な経験をしています。話を聞く中で、森田さんの「好き」や興味のあることへの探究心の高さが伺えました。

 

探究心で突き進む

自然が好き、そして自らが志望している「ITエンジニア」としての技術を学ぶべく、ITが盛んな場所を探し、カナダで1年間のワーキングホリデーへ。4ヶ月は飲食店で働き、資金を貯め、語学を学び、WEB制作の会社に勤めることに。ITの勉強をする傍ら、ロッキー山脈を毎日のように登ったとも話します。今年も、東京で2つの会社でインターンシップも決まっているそう。

森田さんの今後行いたい展望のひとつとして、使われていない私有地の山を有林資産として捉え、マッチングする方同士をつなげるという「空き山シェアリングエコノミー」というプロジェクトを語ってくれました。

短い時間ではありましたが、自分自身のキャリアアップを楽しみながらプロジェクトとして実現していっている姿が印象的でした。

 

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mamanstyle店長/古味 由希(こみ ゆき)さん

 

<プロフィール>

越知町に実店舗と、楽天市場にネットショップを出店。主にレディースアパレルを取り扱う。商店街の顧客の減少に危機感を抱き、2008年に楽天市場に「mamanstyle」という名で出店し、10年が経つ。3年ほど前より、「人通りの少ない商店街に賑わいを!」という思いで「おちマルシェ」を年に2回ほど開催し、市内外の方に楽しんでいただいている。また、2年ほど前から「市内にも店舗があればいいのにー」というお客様の声に応えるべく、移動販売ならぬ「服の出張販売」にチャレンジ。今では高知市内や四万十市など、各地に出没している。

 

 

3人目は、越知町で古味商店というお店を旦那さんと営み、また楽天市場でネットショップを営む古味さん。どこの地域でも商店街からお店や人が年々減っていますが、越知町も同様。そんな背景もあり、間口を作るだけで初期費用もかからず、顧客の層が広がるネットショップを立ち上げたと話します。

 

やってみたいことには柔軟にチャレンジ

時代的にネット販売が定着化してきたこともあり、想像していたより反響が良く、忙しい日々が続いたそう。ネットのおかげでお店の存在も広まり、高知市内から訪問してくれる人もいれば、県外から高知に来たその足でお店に訪問してくれる方も。

そんな中お客さんの口から漏れる「もう少し近くにお店があれば。」という言葉に動かされ、2年前から服の出張販売を始めました。高知市内や四万十市で行い、次は東部の方にも行きたいと思っていると話します。

また、フードトラックの様に服が移動するファッショントラックはどうだろう、と生き生きと話す古味さん。従来のお店で売るという服屋の在り方を、時代や顧客の言葉でできることからやってみようと柔軟に対応しているという。

 

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三代目矢野金光農園株式会社 代表取締役/矢野 順也(やの じゅんや)さん

 

 

<プロフィール>

高知県土佐市出身。2002年22歳で就農、温室文旦30アール・路地文旦100アール・路地生姜50アールを栽培。2010年温室文旦栽培を辞め、路地生姜100アールに増やす。もっと多くの方に文旦と土佐宮ノ内を知っていただきたく、2018年「三代目矢野金光農園株式会社」を設立。新たな取り組みとして、初代から続く味覚品質の研究を従来以上行い、果実の選定方法を見直し、味覚バランスが優れた文旦のみを選定した「金光文旦」をオリジナルギフト箱に入れ、「旅する文旦」をテーマに、大量に段ボール箱で届ける従来のスタイルから、ギフトとして届けるスタイルへ、1つからでも贈答品などとしてお届けできるよう、小売販売を展開している。

 

4人目のゲストは、家業である文旦農家の三代目として活動する矢野さん。冒頭は、意外と知らない土佐文旦について語ってくれました。土佐市で一番初めに土佐文旦を県外に広めようと活動していたチームに矢野さんの祖父(初代)がいたというエピソードも印象的でした。

 

違和感が生んだ新しいアイデア

矢野さんが文旦を育てている土佐市宮ノ内地区は文旦の発祥地であるにも関わらず、文旦を作る農家さんが減ってきていると話します。

「箱や袋に入れて売っているが、今の時代にあっていない。」

文旦だけではなく、農産品は価格が安定せず、袋売りをするとさらに価値が下がってしまう従来の売り方に違和感を覚えた矢野さん。昔と違い家族形態の変化もある中でどうすれば良いのか考えた結果、一個売りの箱で売ってはどうかと考えたそうです。もらった人が自慢したくなるように、女性が持ち運びしやすいようにという想いを込め。そして一番の願いである、文旦がという果実がもっと多くの人に広まるようにと箱には自身の会社名を入れて。まだ今は個人として始めたばかりですが、今後は宮ノ内という地域を巻き込んで、文旦そのものの価値を高めていきたいと力強く話してくれました。

 

 

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株式会社オルトル 代表取締役/株式会社土佐御苑 取締役/高知観光特使

横山 公大(よこやま こうだい)さん

 

 

<プロフィール>

高校中退後、料理の道へ。その後板前の修業をしながら定時制を卒業。1998年ニュージーランドのカールトンホテルNZに就職。2000年、家業である株式会社土佐御苑を継ぐために帰国。2011年全旅連青年部第20代青年部長を歴任、高知県観光特使を委嘱。2013年第一回旅館甲子園会長。2014年~土佐の「おきゃく」4代目実行委員長。2016年株式会社土佐御苑 専務取締役から非常勤取締役となり、株式会社オルトル設立。現在代表取締役。飲食店経営を中心にコンサル等も手掛ける。

 

 

 

 

最後のゲストは、高知の老舗旅館の一つ「土佐御苑」の長男、横山公大さん。若い頃は「酒と女とギャンブル」という言葉が当てはまる時代もあったと笑います。自身の経験、そしてその経験を次の世代に提供していきたいと語ってくれました。

 

今までの経験を若者に注ぎたい

後継者は弟が担い、自身は創業の道へ。創業2年目にして前年度の売り上げを1000%にあげることができたそう。このことで、自分は天才ではないかと絶頂を迎えるも、昨年無計画に投資、破産寸前まで追い込まれ、お金のありがたさや怖さ、そして必要性を知ったと話します。このことを含め、自らが体験して学んだことは、若い世代に伝えなければならないと思っているとのこと。また、「高知にはまだまだ若者が活躍する場がなく、相手にされない風習がある」そう話す背景には、横山さん自身が過去に身をもって学んだ悔しい経験が。失敗も成功も、これから世界をつくっていく若者たちに惜しみなく提供していきたいと話してくれました。

 

 

ネットワーキング〜語り合い、そして繋がる〜

5名の話を終え、全体でネットワーキングの時間を設けました。各自が気になったゲストの元に訪れ、想いを語り合う時間に。また、今回は参加者同士が自然と繋がる姿も多く見られ、盛況のうちに幕を閉じました。

 

 

総括

今回の登壇者はそれぞれ行なっていることや目指しているものは違いましたが、芯にある、『現状を変えたい!』という強い想いが共通していました。それぞれの熱い語りに反応するかのように、参加者の眼差しや反応も見受けられ、熱い想いが人を動かし、そして伝染していくということを実感できる場となりました。

 

 

※100人カイギとは

100人カイギは、一般社団法人INTO THE FABRIC 高嶋大介氏が「同じ会社に勤めていても、1度も話したことがない人がいる」と気づいたことをきっかけに、会社、組織、地域の“身近な人”同士のゆるいつながりを作るコミュニティ活動です。2016年六本木で「港区100人カイギ」スタートさせたのを皮切りに、渋谷区、新宿区、相模原市、つくば市、雲南市など全国各地へ広がっています。

 

(レポート:畠中詩織)

 

 

 

問い合わせ

Kochi Startup BASE

住所:〒780-0084 高知県高知市南御座6-10 高知蔦屋書店3F

運営:エイチタス株式会社 高知支社

Mail: ksb@htus.jp

Webサイト:http://startup-base.jp/

イベント詳細

まちで働く100人をきっかけに、まちの在り方や価値の再発見を目的に、ゆるく人を繋げる「100人カイギ」
渋谷区を中心に開催されていた、このイベントが「こうち100人カイギ」として、ついにKochi Startup BASEに上陸です!
こうちで活躍するゲストを毎回5人お呼びして、働き方やその思いについて語っていただきます。